「ものごとはあまりにも変わる」
みなさんが経験する現実ですね。
あなたのまわりの状況は、10年前とも20年前とも違い、すっかり変わっていますね。
そんなに大昔でなくても、1日前2日前、あるいは数時間前、数秒前でも、一瞬たりとも同じではあり得ません。
なんとまあ、空しく恐ろしい現実でしょうか。
変わることに目をやっていたら、そこには空しさと不安しかありません。
楽しかった出来事、甘い恋、仲間と掴んだ大成功。
それらはいつか必ず終わりを迎えます。
そして次の瞬間には一体なにが起こるかわかりません。
「ずっと幸せで居続けることができたらいいのに…」
そうはいっても否応無しに物事は流転します。変わり続けます。
それはどうしようもない現実です。
だから人は救いを求めます。
このどうしようもない現実の中で、どうすれば安心で、幸せで居続けることができるのか。
ひとつの方法は、常に幸せを求めて、それを手に入れようと努力することですね。
「引き寄せ」なんかもそれですね。
幸せを引き寄せるために「引き寄せの法則」を利用します。
「常に幸せを探し求め、手に入れようとすること」
それはまず、真っ先に思いつく方法です。
でも、それはあまりうまくいかないでしょう。
なぜなら全ては流転し続けるからです。
確定事項など何もありません。
全ては例外なく変わり続けます。
手に入れた幸せは、必ず変化します。
長期的にも、短期的にも変化します。
どんなに努力しても、幸せで「居続ける」のは不可能なようです。
あるいは、幸せであることをあきらめる。
それもひとつの方法かもしれません。
何が起きても、じっと身を潜めて相手にしない。
とりあえず生活できていればそれでよし。
そんな態度であっても、不幸の波は否応無く押し寄せます。
どうあがいても平穏に過ごすことができない。
それが人生のように見えます。
…
「変わること」に目をやっていたら、確実にそのように見えますね。
幸せは長続きしない、必ず変わるものだ、だからいつも不安だ、と。
じゃあ「変わらないもの」ってあるのでしょうか?
変わらないものがあるのなら、それが安心感をもたらしてくれそうです。
変わらないもの。
それは、「それがそうであること」です。
それは変わりません。
それは永久不変です。
なんのこっちゃ?(笑)
「それがそうであること」
それは当たり前ですね。
水は水だし、コップはコップだし、テーブルはテーブルです。
あなたのその状況はあなたのその状況だし、他人のその状況は他人のその状況だし、世界のその状況は世界のその状況です。
それがそうであることは変わりません。
それはいつだってそうです。
別な言い方をすれば、それはそうでしかあり得ません。
…
それは同じものの別な見方、とも言えるかもしれません。
同じものを見るときに「万物は変わる、変わり続ける」と見るか、「万物はそれである、それでしかあり得ない」と見るか、です。
両者はどう違うのでしょうか?
「万物は変わる」の場合は、変わりゆくものへの愛惜があります。
「変わって欲しくない」という思いがあります。
あるいはイヤな状況が変わって欲しい場合には、変わることへの「期待」があります。
どちらの場合も「否定」が、そこにはあります。
「変わらないで欲しい」も「変わって欲しい」も、現状への否定が、そこにはあります。
「万物は変わる」という見方の場合、現状を肯定できるのは、幸せが持続しているある一定の期間だけです。
それ以外の期間は「否定」です。
そしてその幸せが持続している期間も、大抵の場合は短かったり、ムラがあったりします。
それに対して、「万物はそれである、それでしかあり得ない」という見方の場合、そこにあるのは「肯定」です。
それが、そうであると、ただ認める。
それはすなわち「肯定」です。
つまり、同じものを「否定」するのか「肯定」するのかの違い、ということです。
…
救いがあるとしたら「肯定」です。
それがそれでいいと認めることができたら、どんなに楽でしょう。
それをするためには、ただ「見る」だけでいいのです。
ただ見れば、それはそうでしかあり得ません。
いつでも、どこでも、どんなときでも、それはそうでしかあり得ません。
それはあまりにも簡単すぎて、逆に難しいかもしれません。(笑)
実際、それがそうであるのをただ見るのは、とても楽です。
「楽になりたい」と思っているなら、それがそうであるのを、ただ見ればいいのです。
もともとが楽なんです、もともと簡単なんです、スムーズなんです。
それを思考によってわざわざ難しくしているのです。
それがそうであると見えないということは、何か思考によるフィルターがかかっているということです。
それそのものを見ているのではなく、「それにまつわる何か」を見ているということです。
思考による邪魔が入っているということです。
というか、そもそも否定など無理なのです。
だって現にそれはそうだから。
現に「それ」は「それ」として、すでに目の前にあるではありませんか。(笑)
否定など最初から不可能なのです。
肯定が本来のあり方です。
ただ見れば、人生が変わります。
本来のあり方に戻ります。
もともとそうであったものに戻ります。
あなたがあなたのお家に帰る時です。
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