あなたが苦しみを感じている時、実際は何が起こっているのでしょうか。
あなたが苦しみを感じている時、何か苦しみを引き起こす要素があるはずです。
苦しみは勝手には起こりません、必ず何かトリガーとなる要素があるはずです。
それと一体化している状態が、すなわち苦しんでいる状態です。
その苦しみから抜け出るにはどうしたら良いでしょうか。
それは文字通り、あなたが一体化しているトリガーとなる要素から離れることです。
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苦しみは、「出来事」や「思い」という、とても表面的な事項に対して起こります。
トリガーとなる要素は、いつも必ず表面的な事項です。
ですから、表面的な事項に囚われている限り、苦しみは永遠にやってきます。
苦しみから根本的に離れるためには、その苦しみから離れて別な表面的な事項にくっつくのではなく、表面的な事項そのものから離れることです。
苦しみから離れるために、お酒や甘いものやSNSにハマったり、恋人や趣味の仲間を求めるのではなく、表面的な事項そのものからオサラバするのです。
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人は基本的に、表面的な事項から表面的な事項へと渡り歩いています。
要するに、根本的には何も変わっていないのです。
気分が変わるくらいです。
気分をコロコロと変えているだけで、根本的には何も変わっていません。
根本的に変わるためには、表面的な事項を渡り歩くのをやめ、その表面的な事項を見守る立場に移行することです。
表面的な事項の「中」にいるのではなく、それを眺める場所に移動するのです。
「あ～あ」と残念がるのではなく、その「あ～あ」と残念がっている自分を見るのです。
「あいつはほんとに許せない」と憤怒するのではなく、「あいつはほんとに許せない」と憤怒している自分を見るのです。
そのようにひたすら見ていったら、どうなるでしょう。
静かになります。
喜怒哀楽に翻弄されるのではなく、それを見る立場にいれば、それらに巻き込まれて翻弄されないので、静かになります。
振り子の揺れがだんだんと小さくなり、最終的にはピタリと停止するように、出来事に翻弄されていた心の揺れはだんだんと小さくなり、最終的にはピタリと停止します。
そして、初めからそんなもの無かったことがわかります。
あなたが翻弄されていた、喜怒哀楽やら出来事やらの表面的な事項は、初めから無かったとわかります。
何も無い場所で、勝手に独り相撲していたことがわかります。
楽しいことも、苦しいことも、全ては消え去ります。
まるで初めから何も無かったかのように。
それは本当に、初めから何も無かったのです。
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我々は普段生活をしていて、ふと空しさを覚えることがあります。
あんなに楽しかったことが消え、あんなに苦しかったことが消え、「一体人生って何？」 と、やるせなさに襲われることがあります。
それは本質が見えた瞬間です。
本来の「無」を垣間見たのです。
しかし、現象レベルにおいては、無は忌避されます。
現象レベルにおいて無は、耐えられない出来事です。
だから、そこから逃げるように、また別な表面的な事項を追い求めます。
そしていつまでも、現象レベルから離れられずにいます。
あなたが見た無は、真実です。
だから、空恐ろしいのです。
真実に反して生きているから、真実が恐ろしいのです。
その恐ろしさの門をくぐった人だけが、真実に到達できます。
そのために必要な勇気と強さと純粋さを、あえて発揮できますか？
普通はできません。
よほどの苦しみや、よほどのモチベーションが無い限り、普通は発揮できません。
だからいつまでも、現象レベルの無限ループに留まっています。
無から逃げない勇気、そしてひたすら見続ける強さ、それから「ただ単に」見る純粋さ。
現象レベルの無限ループを断ち切り、その上のレベルへ移行するには、ある程度の「変化する力」が働く必要があります。
…
「観察」するのです。
朝顔の育つ様子を観察するように、カブトムシの生態を観察するように、自分の人生を観察するのです。
一体人生ってどういうものかと、観察するのです。
あるがままをありのままに、観察するのです。
すると、ある時点でフッと見えます。
「あ、なんにも無い」って。
フッと見えます。
その時あなたの人生はひっくり返ります。
あるものがなくなり、ないものがあります。
有が無になり、無が有になります。
真実の門をくぐった瞬間です。
あると思っていたものは消えます。
あると思っていたものは、全て幻でした。
そして「無い」は「ある」でした。
「無い」から「ある」が生じます。
「無い」という本来に戻った時、そこから本来の「ある」は勝手に展開します。
いや、もともと勝手に展開しているのですが、それをそういうふうに見ていなかったのです。
そういうふうに見ていなかったという歪んだ解釈が取れ、ただ元に戻るのです。
出来事に一体化せずに、そこから距離を取り、ただそれをそのまま観察すれば、ただそのままの姿が確認できます。
ただそのままの姿をただそのまま確認すること。
それが覚醒です。
ありのままを、ただ、観察すること。
何ひとつ隠されていません。
全て明け透けです。
それを何の解釈も加えず、ただ見るだけです。
ただひたすら、見るだけです。
ただ見ることができる時、あなたは純粋です。
「ただ」見ることができる時、あなたは「無」です。
「無」は、一般的に想像されるような空しさや、やるせなさではありません。
それは現象レベルにおける無というものの見え方です。
現象レベルにおいては、無は忌避されます。
空しさや、やるせなさを避けるために、人は友達や恋人に連絡を取ったり、SNSに夢中になったり、通勤時間でもゲームに浸ります。
無を何とか埋め合わせようとします。
現象レベルにおいては、無とはそういう存在です。
でも本当の無は、解放であり喜びです。
何も無いことの無限の喜びと解放感、そしてくつろぎと安心感。
それはあなたが直接体験してください。
虚心坦懐に、あらゆる想像や想定を捨て、ただ純粋に、無心に、ゼロベースで見てください。
…
苦しみは覚醒への大きなきっかけとなり得ます。
苦しみから逃れるために、別な表面的な事項への渡り歩くのではなく、表面的な事項そのものから離れるという選択をしてみてください。
その時あなたは、苦しみに感謝するでしょう。
変化を促す大きなきっかけとなった出来事に、感謝するでしょう。
あなたの苦しみは、そのように生かすことができます。
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