どおにもこおにも、何かをしてしまいます。
「何かしなきゃ」と思ってしまいます。
それは今、現状が良くない、と思っているからです。
現状が良くない。
なぜそういうふうに思ってしまうのでしょうか。
「だって実際に良くない。お金もないし、仕事もキツイ。美人でもないし、いいことなんて一つもない」
いろいろな言葉が出てくるでしょう。
しかし、世界にはゴミを漁って暮らしている子どもや、飢えで死にそうな子どもたちもいます。
そういう子たちと比べても良くないでしょうか?
物事に良い・悪いはありません。
あるのは良い・悪いという解釈です。
なぜ、どうとでも取れる解釈を、悪いほうに取ってしまうのでしょうか。
すべては脳内に始まり、脳内に終わります。
何か物理的なアクションを起こして、何か物理的な変更を加える必要はありません。
すべては脳内において発生し、脳内において完結します。
何かを「する」必要は、全くないのです。
必要なのは、物理的な変更ではなく、解釈の変更です。
解釈を変更すれば、現状は変更されるのです。
いくら物理的な変更を加えても、解釈が変わらなかったら、何も変わらないのです。
いくらお金持ちになっても、いくら豪邸を建てても、解釈が変わらなかったら、何も解決しないのです。
だから物理的な変更を加える前に、解釈について、よく吟味してみましょう。
…
自分のその解釈は、いったいどこからやってきたのでしょう。
自分の現状に対する「不満」という解釈は、いったいどこからやってきたのでしょう。
それはわかりませんね。
わからないことを考えてもしょうがないので、それはやめておきましょう。
それよりも考えるべきことは、「その解釈は変更可能か」ということです。
なぜだかは知らないけど、デフォルトで与えられているその解釈は変更可能か、ということです。
なぜなら、人生を一変させるとは、解釈を一変させるということだからです。
解釈の変更が不可ということになれば、人生の変更も不可ということになります。
しかし、皆さんご存知のように、解釈の変更は可能です。
たくさんの人が、そのようにして人生を一変させてきました。
「考え方が変わって人生が変わる」
テレビのドキュメンタリーやノンフィクションの作品なんかでも、そのような実例を沢山ご覧になったことでしょう。
解釈の変更は可能です。
では次に知りたいのは「どうやって」ですね。
…
例えば最初に見たような、「現状が良くない」という解釈。
これは自分の意思でそう思っているというよりも、勝手にそう思ってしまう、どうしようもなくそう思ってしまう、ということになると思います。
意思の力が及ばないのに、意思の力で変更なんてできるのでしょうか?
これは「変える」のではありませんし、意思の力を使うのでもありません。
そうではなく、「もっと本当のところを見る」ということです。
例えば人付き合いにおいて、第一印象はいけすかない感じだったとしても、付き合っていくうちに思慮深い、いい人だったと気づくことがあります。
これはその人のより本質的な人間性を見ることによって、最初のいけすかない印象が上書きされた、ということです。
もちろん逆バージョンとして、最初はいい人だと思ったけど、付き合ってみると腹黒かった、ということもあるでしょう。
より本質的な部分を見ることによって、それまでの薄っぺらい印象は上書きされます。
そしてその印象は、もう元に戻るということはありません。
より本質的な部分が、最も力を持って印象を支配します。
それと同じことです。
「現状が良くない」という薄っぺらい解釈は、より本質を見ることによって、上書きされます。
それは、現状が良くないという解釈を「変える」のではありません。
より深い解釈によって、上書きされてしまうのです。
それによって元あったものは、消えてなくなります。
…
つまり、物事の表面しか見てないから、「現状が良くない」という解釈になります。
物事の表面だけを見ていたら、誰だってそういう解釈になります。
ですから大事なのは、物事の表面にとどまらずに、本質まで見通すということです。
表面にとどまらずに、本質まで貫き通す視線によって、薄っぺらい解釈を彼方の背後に置いて行きます。
「現状が良くない」
その解釈を表面にとどまらずに、奥の奥まで見通すと、何がありますか?
何もありませんね。
その奥にあるのは、「何もなさ」です。
すべての物事を貫き通すと、その奥には何もなさがあります。
常に視線をそこまで貫き通してごらんなさい。
あらゆる物事を、表面を見るのではなく、その奥の奥まで、「何もなさ」まで、視線を貫き通してごらんなさい。
そして自分に起こる変化を、目撃してください。
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