人が人生というものに疑問を持つのは、たいていうまくいかない何かがあったときです。
順風満帆、万事上手くいっているときに疑問を持つことはありません。
人知の力ではもうどうしようもないこと、深い喪失、悲しみ、懊悩。
そういう状況に出くわしたときに人は、「一体人生って何なんだ!?」と、詳しく調べてみようという気になります。
だからその動機はたいてい、「苦しみをなくしたい」というものです。
ではその答えはあるのでしょうか?
苦しみをなくすことはできるのでしょうか。
…
そもそも人はなぜ、苦しむことができるように作られているのでしょうか。
苦しみは何のためにあるのでしょうか。
生物学的に捉えるなら、それは個の存続のためですね。
つまり、生き延びるための機能です。
痛み、苦しみは一種の危険信号で、快適に過ごすために、より良く生きるために何かを改善しなさいよ、というサインです。
何かがうまくいってない。
それを知らせる一種のアラートです。
ですから人として生きている以上、「苦しみを感じるという機能」から逃れることはできません。
苦しまない、という人はいないのです。
苦しみを無くす、ということはできないのです。
あるいは脳ミソや神経の外科的手術で、痛みや苦しみを感知しない身体に作り変えることはできるかもしれません。
しかしもちろん、あなたがしたいのは、そんなことではありませんね。
…
苦しみをなくしたい。
その思いは、より良く生きるためのモチベーションになります、実は。
だって苦しみは、より良く生きるように仕向けるためのサインでしたね。
苦しみを感るということは、ネガティブなことではないのです。
苦しみは、より良い人生への原動力です。
苦しみがあなたを、より良い人生へ導きます。
苦しみをやり過ごさないこと。
きちんとそのサインに耳を傾け、しっかりと向き合うこと。
あなたに訪れた苦しみという恩恵を、しっかりと受け取りましょう。
苦しみは目を背け、フタをしていると、ただ苦しいだけの存在です。
そして自らの役目を果たすまで、いつまでも存在し続けます。
きちんと向き合い、あなたの進歩向上に役立ったなら、役目を果たしたその苦しみは消えていきます。
そのとき苦しみは、感謝すべき存在となります。
苦しみがなかったら何も変わらなかった人生を、前に進めてくれたのです。
その苦しみが伝えたいことは何なのか、メッセージは何なのか。
ぜひ、耳を傾けてみてください。
そしてあなたの人生を前へと進めてください。
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